第二次世界大戦中、日本を無条件降伏させるためにアメリカ軍が湘南の茅ヶ崎海岸に上陸し、本土決戦をする作戦を立てていたという本を読んだ。
本の名前は「相模湾上陸作戦ー第二次大戦終結への道」。
上陸作戦の名前はコロネット作戦。
コロネットというのは馬蹄のことで、茅ヶ崎と九十九里浜の2箇所に上陸する作戦だったため、地図上で馬蹄の形に見えたのでそのように名付けられたという。
(この作戦の6か月前に九州へ上陸する作戦も立てられていた。)
結果的には原爆が落とされ日本が降伏したのでこの作戦は実行されなかったが、アメリカ軍も日本軍もこの作戦に対応すべく実際に動いていたのである。
詳しく書くと長くなるのではしょるが、作戦開始時期は昭和46年3月。
雨が少なく、道の凍結がなく、暑くなく、コロネット作戦に使う飛行場などの確保を目指した九州上陸作戦とダブらない時期、ということで3月が選ばれた。
日本は、ミッドウエー海戦の大敗により海軍戦力の大半を失い、その後サイパン陥落・レイテ沖海戦大敗と続き、さすがに政府は和平への道を探るべしとの考えに傾いていったが、このまま降参すると面目丸つぶれということで、アメリカに大きな一撃を与えたのちに和平に持ち込もうとする。
しかし、武器が無く熟練兵もいない日本が既に戦える状態では無いことを認識していながら、その後なぜかいつもの精神論が台頭して来て、しまいには一億総玉砕みたいな話になってしまうのである。
国体の保持が絶対と言いながら、なぜか日本民族が全員死んでも良いとなってしまう、その論理が分からない。(あ、これは私的な感想です)
日本人は基本的に合理性と論理性を重要視しない民族なんでしょうかね~。
ダメなら死んだ方がいー!、って感じ?
発表会の本番で落ちたときは、復帰しようとモガこうとせずに潔く途中棄権!?
わたし、もうやめます!、とか言って。
ん~そうしたい気持ちは痛いほど分かりますが・・・。^^;
話は戻って、スパイの諜報活動の成果なのか、なんと日本はアメリカ軍が46年3月頃に茅ヶ崎と九十九里浜に上陸するであろうことを予測していた。スゴーイ!
日本軍は、その両地区に陣地を構築し兵力を集結させようとしていたのだ。
部隊を集結させる場所も明記されており、良く知っている地名が出て来る。
小田原、沼津、秦野、厚木、座間、相模原、鎌倉、藤沢、海老名、横浜戸塚、長津田・・。
これら地域に配置される兵力は、アメリカ軍が茅ヶ崎海岸から上陸した後に内陸側へ進行してくるのを食い止める(というか、東京に着くのを極力遅らせるのが)目的の兵であり、この他にも海岸線でアメリカ軍を迎え撃つ部隊が編成された。
部隊には、正規兵の人数不足のため徴収された退役軍人など、民間人も含まれた。
海岸線に配備された部隊の目的も、前述の後方部隊と同様で、敵を殲滅することではなく敵の進行を妨害することであった。
妨害するという言葉から受けるイメージはマイルドだが、彼らの役割は過酷だった。
その部隊の名前は、はりつけ部隊。
使える武器が無いため、爆弾を抱えて敵の戦車のキャタピラーの下に飛び込み自爆するのだ。
飛び込む訓練も実際に行われた。
陸地における特攻である。
装備について当時の師団長柏徳中将は「馬匹等の配当なく且つ武器も極めて不十分にして小銃の如きも三八式は皆無、お粗末な代用品のみなり(竹棹二千本を準備せり)」と記している。
竹ざお2千本?。
アメリカ軍が何千万丁と持っている機関銃や大砲、火炎放射器、ロケット砲、戦車などと竹ざおで戦おうと本気で考え、配備までしていたこの事実。
今の日本人ならこれはしないだろうか。
それとも、また同じことをするだろうか・・・。
分かりません。
日本はこんなお粗末な状態だったのに、アメリカは日本の戦力を過大に評価していた。
アメリカは、日本軍の本格的な反抗は内陸部で行われるだろうと予測し、自らの祖国を守る頑強なまだ敗北を知らない本土の将兵と、一億総玉砕思想のもとで義勇軍等一般市民がアメリカ軍に対し自殺的・狂信的な反抗活動に出る可能性により、本土制圧に要する期間は上陸してから1年半とみていた。日本が市民を兵力として考えていたように、アメリカも日本は一般人でも兵士と同等と見ていたのである。
もしアメリカ軍が茅ヶ崎海岸(チガサキ・ビーチと書いてあるのが何とも生々しい)に上陸していたら、茅ヶ崎や厚木・町田・相模原・横浜・川崎等で竹槍を持って抵抗する市民を火炎放射器で焼き殺し、戦車で踏み潰し、銃や砲で殺しまくったりしながら東京に向かって進行したはずで、史上類を見ない大虐殺となったはずである。
更にアメリカ軍は毒ガスのサリンの使用も視野に入れていた。
国際法で禁止されていたが、日本軍が中国で毒ガスを使用したので日本に対して使用することに抵抗は少なかったであろうと書いてある。
こわい話だけれど、これは昔の話。
今は真剣に北朝鮮や中国と仲良くする方法を考えなきゃいけませんよね。
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