読むのが辛いアルマ・マーラーの日記

大作曲家グスタフ・マーラーの妻として、そして悪妻として有名なアルマ・マーラー。

 

アルマは有名な画家エミール・ヤコブ・シントラーの娘として生まれた。

裕福だったので、恵まれた娘時代をおくる。

アルマは非常に多くの芸術家(詩人・作家・画家・作曲家・彫刻家など)と接しながら育つ。

父は「神様たちと遊びなさい」と言ったとか。

 

例えば17歳のとき、イプセンをウィーンに紹介した劇作家ブルクハルトが読書を指導。アルマはスタンダールやニーチェを読破し愛読書とした。

作曲は抒情交響曲で有名なツェムリンスキーに習った。

絶対音感を持ち、ワーグナーを暗譜して綺麗なソプラノで歌い、無調の音楽を書いたという。

 

生涯でアルマが関わった男性の有名音楽家は非常に多く、華麗である。

作曲家ではシェーンベルク、ベルク、ドビュッシー、ピエルネ、ラベル、ブリテンなど。

指揮者ではバーンスタイン、ショルティ―、ワルターなど。

ワルターがビバリーヒルズに住んでいたことはこの本で知った。

 

アルマは飛び抜けた美人だったので、アルマを見た男は皆強烈に恋をしたらしい。

 

彼女は処女性を厳格に守るがそれ以外については寛容だった。

例えば、作曲の教師であったツェムリンスキーには最後の一線を除いて抱擁、愛撫とありとあらゆることをゆるす。燃え上がったツェムリンスキーは何度も結婚を申し込むが、アルマは「あなたは醜く貧しい」と何度も言って侮辱しもて遊ぶ。

 

しかし、「彼に抱擁されたいと狂おしいほど思う。私自身の奥深いところでの、まるで炎のほとばしりのような彼の手の感触を決して忘れない」とも書く。

 おそらくクリムトとも同様だったのだろう。

 

その後のマーラーとの結婚は失敗だった。

マーラーは女性を神聖視する男だった。

そして妻は夫に隷属するものとも考えていた。

 

マーラーはアルマに「君には以降、たったひとつの仕事しかありません。私を幸福にすることです」と言ったという。

 

才能に溢れたアルマは手足を縛られ、欲望が抑えられなくなる。

結果、幾度も不倫をし、それを打ち明けられたマーラーは精神を病む。

フロイトの診察を受けるが治らない。

マーラーは隷従はさせたが、精神を病むほど心から愛していたのだ。

 

しかしアルマは許さない。

「マーラーは優しいが下手なのだ」と書く。

 

女性を神聖なものとして、ある意味プラトニックな愛を捧げたマーラー。

 

どちらも可哀そうなのかなと思った。

 

アルマ・マーラー

グスタフ・マーラー